あおいうに2024年度個展「マゾヒズムは父〓しのはじまり」が11月2日から開催決定!

この度、年に一度のアートラボトーキョーでの個展を行います。ぜひ皆さまご高覧ください。

【概要】
あおいうに個展「マゾヒズムは父しのはじまり」
2024年11月2日(土)〜16(土)   ※(月)(火)休廊
15時〜20時(最終日18時まで)
Art lab Tokyo
〒107-0061 東京都港区北青山2-7-26 メゾン青山202 (外苑前駅から徒歩2分)
03-6231-6768
※11月3日(日) レセプションパーティ予定


【ステートメント】
異性と粘膜接触をした最古の記憶をたどると、幼稚園時代に遡る。男児にいじめられてほっぺたを噛まれたのだ。
もちろん当時は苦痛に感じていた。
しかし、時を経てその苦痛は甘美な粘膜接触の思い出へとすり替わる。
後に大学生くらいまでに定着した私のマゾヒスティックな欲求は、この幼少期の思い出が一因であろう。
変態性癖と呼ばれる世の多くの性的趣向は、実は防衛機制であると言えなくない。

およそ社会において、抑圧されていない人間はいないだろう。権力者や地位がある人物を含めて、何らかの権力を持った他者に制約を受けた経験があるはずだ。

私の場合は、旧統一教会の二世として生まれ、厳しい「純潔教育」を受けて育った。 
「純潔教育」とは、旧統一教会の教祖・「真のお父様」文鮮明が選択した相手と祝福(結婚)を受けることを人生至上の喜びとする、という教えのことだ。
それまでは決して恋愛や性交渉をしてはならないし、自慰行為をしたり、ポルノも見てはならない。
そうした価値観の刷り込みをうけ、私の中に芽生えたのは、性に対する抑圧と同時に反動として抱いた性への強い興味であった。
エロティックな表現をしたり、変態的な行為をしても地獄へ堕ちることはない。そう信じたいがための強迫的な確認行為だ。
こうして私を抑圧した「純潔教育」は、かえってセクシャルな絵を多く描いたり、マゾヒスティックな欲求の衝動やその実現に帰結した。

圧倒的で絶対的な父なる存在にひれ伏すことは、もはやある種のSM行為に近い。
恋愛や性の趣向は、幼少期の人間関係、特に親との関係や家庭環境の再演だと指摘されることがある。
実際に私は幼少期に受けた抑圧から自由意志を解放する手段として、性行為において被虐・支配されることで本当の意味での自由を得ているのだ。

いくら、性的倒錯して奔放な生活を送っても、私は私だ。地獄へ「堕落」することはないだろう。
私にとって、マゾヒズム──つまり、統一教会的には堕落行為。性的倒錯すること。──は真のお父様・文鮮明に打ち勝つ唯一の武器なのではないか。
私はマゾヒスティックな欲求を満たすことではじめて「父殺し」を果たすのではないか。
それはイコール、真の意味での統一教会との離別を意味する。

カインとアベルの兄弟殺しの物語のように、私もまた、自分自身の内面での葛藤と対峙し、それを乗り越えることで新たな自分を見出そうとしている。

今回はマゾヒストとしての私の心理を抽象化して作品に昇華する。
この展示の目的は、剥き出しになった感情の吐露と、その倒錯が孕む包容力によって、抑圧に満ちた現代を生きる人々の共感を引き出すことである。
鑑賞者が各々の体験にあっただろう抑圧を直視し、そしていかなる制約もない自由意思の解放を、重ねて観てほしい。

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